本研究は、1型糖尿病を持つ女性の生殖結果に及ぼす影響と、不妊症を持つ女性の卵子の質と人工生殖技術(ART)の効率を改善する戦略に焦点を当てています。
1型糖尿病は、膵臓がインスリンを十分に生産できない状態で、全身の血糖値が異常に高くなる病気です。この病気は世界中で急速に増加しており、特に妊娠中の女性においては、卵子の質が低下し、生殖に悪影響を及ぼす可能性があります。研究では、**ニコチンアミドモノヌクレオチド(NMN)**という物質が、1型糖尿病を持つマウスの卵子の成熟にどのような影響を与えるかを調べました。 NMNは細胞のエネルギー生成やDNA修復に関与する重要な補酵素です。まず、ストレプトゾトシン(STZ)という化学物質を使って、マウスに1型糖尿病のモデルを作りました。STZは膵臓のβ細胞を破壊し、糖尿病を引き起こすことが知られています。このモデルの成功は、体重、空腹時血糖値、およびヘマトキシリンとエオシン(H&E)染色によって確認されました。H&E染色は、組織の細胞構造を観察するための一般的な染色方法です。 次に、体外成熟(IVM)率を調べることで、糖尿病を持つマウスの卵子の成熟度を評価しました。IVMは、卵子を体外で成熟させる過程を指します。
さらに、**免疫蛍光染色(IF)**を用いて、卵子の品質に影響を与える可能性のある要因を調べました。これには、**活性酸素種(ROS)**のレベル、紡錘体/染色体の構造、ミトコンドリアの機能、アクチンのダイナミクス、DNAの損傷、およびヒストンの修飾が含まれます。
最後に、**定量的逆転写PCR(RT-qPCR)**を使用して、卵子内の特定の遺伝子のmRNAレベルを測定しました。これらの遺伝子は、細胞の抗酸化防御やエネルギー生成に関与しています。 研究の結果、NMNの補給は、糖尿病を持つマウスの卵子の成熟率を高め、卵子の質を改善することが示されました。具体的には、アクチンのダイナミクスを回復させ、減数分裂の欠陥を逆転させ、ミトコンドリアの機能を改善し、ROSレベルを低減し、DNA損傷を抑制し、ヒストン修飾の変化を復元しました。
これらの発見は、1型糖尿病を持つ女性の不妊治療において、NMNが卵子の成熟率と質を改善する可能性があることを示唆しています。これは、将来的に不妊症治療における新たな治療法の開発につながる重要な手がかりとなるでしょう。
表題:Nicotinamide Mononucleotide improves oocyte maturation of mice with type 1 diabetes
<対象>マウス
<引用>
Zhu Z, Zhao H, Yang Q, Li Y, Wang R, Adetunji AO, Min L. β-Nicotinamide mononucleotide improves chilled ram sperm quality in vitro by re-ducing oxidative stress damage. Anim Biosci. 2024 Apr 1. doi: 10.5713/ab.23.0379. Epub ahead of print. PMID: 38575134.
<URL>
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/38575134/
記事引用元>Facebook:一般社団法人NMN機能性食品開発協会